2003年7月14日

ポストモダンツッコミ

漫才で言う「ツッコミ」の役割はいま明らかに変わってる感じがして、
55号→紳助竜介・ツービートあたりの「弱いツッコミ」を経て
ダウンタウン・ウッチャンナンチャンの対等な感じに戻って、
今のツッコミって言うのはどれが代表格って言うのは
いいづらいかんじですけど、ある種の特徴を持ってる気がします。

最近のコンビはまず、明らかにノリツッコミが多いです。
あと、ツッコミ損ないだったり、ツッコミ返し、つっこめてない、
などのテク(わざとなんで)を使う場合も多いように思います。
一番わかりやすいのは「三村ツッコミ」ですが、
その下の世代のますだおかだなど、その辺の漫才コンビになると
ほとんどがそうと言ってもいいと思います。
こういうツッコミをポストモダンツッコミと言います。

こういうツッコミのパターンとしては、
ボケがぼける→ツッコミがそれに乗っかる→乗っかりすぎる
→冷静なボケがつっこむ→それに対してつっこむ(「こっちもがんばっとんねん!」とか)
が王道ですが、ほかにも、漫才の途中で違う場面の演技をする際に
くるっと一回転して入る、と言うのがよくありますが、
ツッコミがその演技に入ってもボケがついてこないで、
「何急に回ってんねん」「古い入り方やなあ」などと冷静につっこむ、などもあります。
共通してるのは、漫才と言う形式自体を笑いにしている点です。

ツッコミというのは本来、観客を代弁する絶対的な正しい視点を持っていて、
その位置からボケに注意する、と言う立場だったわけですが、
もはや絶対的な正しい視点というのがあり得ない幻想な以上、
そういうツッコミになるのも無理はないのが実際で、

そういう傾向に、80年代の「弱いツッコミ」からの流れ、
つまり、ツッコミという裸の権力者に対する「王様は裸」的な
ボケの弱さに対する下向きの優越感に対する、
上向きの優越感が合わさっていると考えられます。

「考えられます」って言ってもちょっとあれなんだけど。
そうすると「笑い飯」みたいにボケとかつっこみとか関係ない方向
に行くのは当然かなあとか思うけど、あれはなんか、
役割としてのボケツッコミの区分がないだけで、結局つっこんじゃってるから、
どうなんだろう。どうせなら今後はツッコミレスになるんじゃないかなあ、
とかおもうのですが。

Posted by kent at 2003年7月14日 02:18

コメント(2)

個人的な官職では、やすきよあたりが、ぼけとつっこみの関係性を固定化されないものにして、それに影響を受けたダウンタウンが、決定的にパラダイムを変化させたと思います。現在のていたらくからは想像もつかないくらい、ダウンタウンは、お笑いの様式の歴史という簡単からいうと、かなり大きな変革をしたのではないでしょうか。

なるほど、その辺は話の都合上さらっと流してしまいました。
貴重なご指摘ありがとうございます。

やすきよは重要ですね。
そのまでの歴史がまだ調べ途中なので、先駆者はいるのかもしれませんが、
少なくとも影響度合いでいったらやすきよ→ダウンタウンの流れが
今の芸人にめちゃめちゃ大きな影響を与えているのは間違いないです。

ただ、ボケツッコミの関係性で言ったら、ダウンタウンは、
それほど変なことをやってるわけでもないような感じはします。
浜田がつっこまれることはありますが、やすきよのような形で「入れ替わる」わけ
ではなくて、ボケツッコミの役割はくっきり分かれており固定化されてます。
ただ、この二者間に強弱の違いが無い点が過去との違いかなあとか思いました。