2001年10月26日

遊ばなければ

・就職活動などを始めなければならないなあなどと思う昨今なのでございますが、就職活動系のメーリングリストなどは「人間力を高めよう!」だとか、「俺と同じアツい人間のコンタクト待ってます!」とかいうサブジェクトがそ奴の名前になっているメールだとかが飛びまくりなのであって、私のように熱くも何とも無い人間にとってやはり人間力を高めないことには就職活動は無理なのか、などと思うと暗澹たる気分になって夜枕を涙でぬらしたり呻いたりする昨今でもある。

だいたい変な「ルール」が多すぎる。例えば、「服装は自由です」だ。これはある就職系のサイトを読んだ所出てきた回答例だが、こうした場合、学生が取る対応は「スーツ」と決まっている。自由なのにスーツ。カジュアルなのにスーツ。とんだことだと思う。カジュアルだと言われたら是が非でもユニクロを着てゆくのがデフレ日本人の心意気だと思っておったが、時代はスーツらしい。ただ、「服装が自分のアピールポイントとなっている場合はよい」とか、「外資は良い」とか変な例外もある。これもおかしい。だいたいその情報を提供しているのは口コミ情報であるから、何となくそうっぽいと言うだけであって、企業の担当者がズバリ「ユニクロのフリースは落とします!」と言っているわけではない。

就職にまつわる情報これ全てなんだかんだいってそんな感じの情報ばかりのような気がしてきた。集め始めて1カ月ぐらいで早くも真実を掴んだ気分である。大手コンサル(変換したら"コン猿"と出た)の社員があなたの疑問にお答えします!みたいなページでも「重要なのはキミの生き方であってそのライフスタイルやソウルをアタックする、みたいなフィーリングが就職活動なわけだからそういうなんというか、キミのアンサーを急に求めるアティチュードみたいなのは、非常にディスカレッジされると思うな」などと言う答えが返されてあったりして、それは結局知らない、と言うことなんであろうとも思った。こんな言い方なら私にだって出来る。変な宗教みたいだ。どうせなら足のツボをマッサージしてもらいたい所だと思った。

そんな就職活動直前の私の昨今であるが、こんな時期にいろんな人から聞くのは、「学生のうちに遊んでおけヨ!」などと言う格言である。いや、こんな時期でなくとも大学に入ってから256回ほど聞いた感じがする。そういわれて私はなにをしたらいいのか非常に疑問に思っておった。だいたい「遊び」概念がまったくもって不明瞭である。どうせなら具体的に指定して欲しい。例えば、あやとりなどである。「カオリちゃん反対側から取って!」「取ったわよ!ウフ!」みたいな感じであろうか。

これはいよいよ深く追求せねばならないような気がしてきた。あと一年間「遊ばな」きゃいけないのにそれがなんだかわからないと言う非常に危機的なフィーリンである。自己分析などしている場合ではない。ところで、適性検査のようなものを先日受けたら、私がいちばん向いてない職業は「土木作業員」であったことを付記しておく。

スポーツというのはどうだろうか。これはわかりやすい。鼻垂らしたガキが坊主頭でキャッチボールをしている姿が目に浮かぶ。その姿をそのまま大学生に当てはめれば良いのである。遊びっぽい感じだ。ほかにも、カバディなどもよいだろう。就職したらカバディも出来ないしな!などとついカバディカバディカバディという声も高らかになりがちになる。ところが、バスケットボールだとかそういうものになると急に遊び感が薄れるのは何故だろうか。同じボールを使ったものでもドッジボールなどは遊びっぽいのに、である。この辺は謎だがどうでもいい点である。

プラモデルなどはどうだろうか。ミニ四駆だとかガンダムだとかそういうのを組み立てた同年代の人も多いだろう。あれはまさしく遊びっぽい。その姿をそのまま大学生に当てはめてみると急に病的な気分になるのは何故だろうか。「遊び」と言うよりも後ろ暗い気分になってくる。「引きこもり」などと言う不吉なワードも浮かんでくる。これはもはや遊びとは言えないのかもしれない。プラモデルではなくて、鉄モデルなどだったらどうだろうかと言うことを今思い浮かべたが、それをやってるのはスキンヘッドの動物みたいな名前の美術家であって、あれは遊びっぽい感じもしたがあれが仕事なのだからいよいよもって遊び概念の混乱ここに極まれりという感じになる。

おにごっこ。はどうだろうか。遊びと言ってまずこれが思い浮かばなかったのが不思議なぐらいだ。物陰に潜むガキ。見つけられず途方に暮れる鬼の姿が目に浮かぶ。みんな帰ってテレビゲームをしているのだ。それを大学生に当てはめてみればよいのである。大学のキャンパスに走り回る人の群れ。踏みにじられた教卓!「お外で遊びなさい!」という教師の声が聞こえてきそうだ。これは合っていると思うから、誰かやってみると良い。ドロケーでもいい。ケードロでもいい。わんぱくでもいい。

リカちゃん人形遊びなどはどうだろうか。「ウフ!あたしリカヨ!」「えへへ!あたしジェニーよ!」などと言う光景が目に浮かぶ。これを大学生に当てはめてみればよいのである。すると途端にきらきらした私の幻想が頭にバンダナを巻いたこぶとりメガネ、と言った図に変化してしまうのは私の心の中に濁りみたいなものがあるからかもしれない。

しかし、なかなかこれと言ったものが見つからないのはやはり私が働きすぎだと言われる日本人の人種の血をひいているからであろうか。しかし、例えば、旅行などを考えてみると、混雑したスポットにしなびたさしみわかめみそ汁、ぬるいビール、レモン石けんという図が思い浮かぶのでこれは遊びではないだろう。観光地のとの戦いのようなものである。いわゆる合コンもやはり戦場であるから、とても遊びとは言ってられない。遊園地なども「遊」の字が入っているからそれっぽいが実際はチケットの残りを気にしたり、マスコットのキャラクターを殴りたくなったりするからやはり戦場である。舞浜のシー近辺などではゴミを投げた瞬間に飛んでくる清掃員とも戦わなければならない不合理。

そうかんがえると、遊ばなければならないと言うのが非常に重荷に感じてきた。就職活動よりも重荷だと言ってもよい。そう考えると暗澹たる気持ちになって夜寝られないので授業中寝る感じだが、これもやはり人間力が足らないからであろうと思った。

Posted by kent at 2001年10月26日 03:52